鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例・・・?

・asahi.com: 人権救済条例案を可決 鳥取県 氏名公表などに批判も
http://www.asahi.com/politics/update/1012/005.html
・平成十七年九月定例会 議員提出議案 / 鳥取県議会ホームページ
http://www.pref.tottori.jp/gikai/teireikai/17-09/giinteian.htm
・鳥取県議会インターネット中継(録画放送)十月十二日
http://www.pref.tottori.jp/gikai/chukei/rokuga10-12.htm

あらら。
鳥取県で、人権擁護法案のようなモノが出来たようです。
この条例の目的は、1条で高らかに謳われています。
(目的)
第1条 この条例は、人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防に関する措置を講ずることにより、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする。
個々人の違いは踏まえた上で、それを許容し、お互いを人間として尊重し合う社会、それが「人権が尊重される社会」なんだと思います。
こうした社会を目指す、という目的自体に、異論を唱えるつもりはありません。
(そんな理想郷が、実現可能なのかは、また別の問題でしょうが。)

問題は、実現を目指すために作られた条例の中身にあります。

条例では、以下の行為が「人権侵害」になります。
(人権侵害の禁止)
第3条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人種等を理由として行う不当な差別的取扱い又は差別的言動
(2) 特定の者に対して行う虐待
(3) 特定の者に対し、その者の意に反して行う性的な言動又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与える行為
(4) 特定の者の名誉又は社会的信用を低下させる目的で、その者を公然とひぼうし、若しくは中傷し、又はその者の私生活に関する事実、肖像その他の情報を公然と摘示する行為
(5) 人の依頼を受け、報酬を得て、特定の者が有する人種等の属性に関する情報であって、その者の権利利益を不当に侵害するおそれがあるものを収集する行為
(6) 身体の安全又は生活の平穏が害される不安を覚えさせるような方法により行われる著しく粗野又は乱暴な言動を反復する行為
(7) 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を公然と摘示する行為
(8) 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱いをする意思を公然と表示する行為

(;’A`)・・・幅広っ!!

ちなみに、「人種等」とは、
人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向
と定義されています(2条3項)。
(;’A`)・・・やっぱ、幅広っ!!
これを読むと、「人権」っていう言葉は、本当に何でも含める便利なポケットなんだなぁ・・・と思いますね。
言うならば、ドラえもんのポケットでしょうか。
タケコプターから、地球破壊爆弾まで、何でもかんでも詰まっていて、何でも出来る。
委員会の運用次第では、何でも人権侵害だとすることができるんじゃないか・・・そんな不安に襲われてしまいます。
鳥取県の条例ですから、基本的には「鳥取県内で人権侵害行為を行った場合」が適用対象なのですが、「鳥取県民に対して、人権侵害行為を行った場合」も、この条例の適用があります(17条3項5号)。
だから、鳥取県民じゃないからといって、全く無関係の出来事だと、切り捨てるわけにも参りません。
困ったもんです('A`)



仮に、上記の「人権侵害」があったとして、具体的にはどのような流れになるのか。
上記サイトの議案を元に、適当に手続の流れをまとめてみますと・・・。

・人権侵害発生?
 ↓
・「人権侵害救済推進委員会」(以下「委員会」)へ
  相談(16条1項)
  本人による救済の申立て(17条1項)
  本人以外による通報(17条2項)
 ↓
・委員会による調査
 方法は「事情の聴取、質問、説明、資料又は情報の提供その他」
   申立ての場合、調査は必要的(18条1項)
   通報の場合は、任意的(18条2項)
   職権で行う事も可能(18条3項)
・関係者・当事者の調査への協力義務?
   関係者は任意(19条1項)
   当事者は強制(19条2項)
    →正当理由なくして拒むと、5万円以下の過料(28条2項)
    (・・・この「当事者」は人権侵害の加害者の事なんだろうか('A`)?)
   行政機関は、何だかんだ理由付けて拒否可能っぽい(19条3項・4項)
 ↓
・委員会による、調査結果の通知(20条)
  当事者に書面で通知
  当事者による再調査の申立ては可能
  委員会が理由があると認めれば、再調査
・調査及び救済手続の終了(23条)
  17条3項の除外事由(民事・行政・刑事、各手続で扱うべきもの等)に該当
  また、人権侵害が確認できないとき等は、手続終了
  その旨を申立人・通報者に通知
 ↓
・救済措置(21条)
  委員会が人権侵害があって対処する必要があると考えたとき
   被害者への助言や援助(1号) 加害者などへの説示、啓発、指導(2号)
   被害者・加害者間の調整(3号)
   犯罪の告発(4号)
・是正等の勧告等(24条)
  更に、一定の重大な侵害の場合
   人権侵害を止めろ、と勧告(1項1号) & 研修に参加しろ、と勧奨(1項2号)
    (一応、事前に弁明する機会はあるらしい(25条・26条))
    (→行ったら、申立人、通報者、被害者へ通知(4項1号))
  勧告を受けた加害者等に、どう対処したかの報告義務(2項)
    (→報告来たら、申立人、通報者、被害者へ通知(4項2号))     
  勧告に従わない加害者→その旨を公表(3項)
    (ここでも、事前に弁明する機会はあるらしい(25条・26条))
    (→公表したら、申立人、通報者、被害者+加害者などへ通知(4項3号))
 ↓
・各措置により
   加害者が反省して・・・
   氏名公表のリスクを恐れて・・・
   公表に伴う社会的圧力によって・・・
 ↓
・人権侵害行為ストップ→人権侵害解消、∩( ・ω・)∩ ばんざ~い

(こんな感じでしょうか・・・。議案だけを見て、大まかなイメージでまとめたモノですので、ちょっと違う所もあるかもしれません。)


あとで書く予定・・・とりあえずメモ書き・・・
【憲法上の問題点?】
・表現の自由(憲法21条)を侵害?
・適正手続違反(憲法31条)?
・権力分立原理の趣旨に反する?
【事実上の問題点?】
各種団体に悪用される危険性がある?


ちなみに、朝日新聞の記事の最後には、以下のような一文が・・・。
 批判が多く出ていることについて、条例案に賛成した県議の一人は「条例が完全でないのは分かっているが、運用しながら修正していけばいい」としている。
(;’A`)
記者の意図通りの反応をするのも何ですが、そんなんで良いのですかね・・・?



・・・ちょっと感じたこと。
一般の法律・条例で、保護対象とする権利の名称に「人権」を使うのは、止めてほしいです。
「人権」という用語を使うと、どうも、憲法絡みの問題のようなニュアンスが漂ってしまいます。
戦後生まれの日本人は、高校時代に、いわゆる「憲法の三大原理」を教わり、「人権」っていうのは、とにかく大事なものだ、と刷り込まれていると思います。
そんな国民に対して、あえて「人権」という名称を用いるってのは・・・・「大切な人権が侵害されているのだから、一大事だよ、細かい事は後で考えるとして、まずは大事な人権を護ろうじゃないか!」、と煽り立て、盲目的な追従を強いているようにさえ感じてしまいます・・・('A`)

(10月14日、ちょっと追記しました)

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